montokokoroの日記

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2023年の本ベスト約10冊 前編

年が変わってから既に2週間経っている。今更去年の振り返りをしたい。2024年の1月も既に半分が終わっている。本当に今更だ。

1年前も同じことをしたけど、1月7日には全部紹介しきっている。去年の自分偉すぎ、、、。

読んだ順にまとめるので、前の方ほど記憶がおぼろげだ。という言い訳をしつつ、読書ノートを取ってなかったことを悔やむ。

 

1,夜のピクニック/恩田陸

本屋大賞も受賞した青春小説。夜を徹して80キロ歩き続けるという「歩行祭」を通して描かれる高校3年生の男女の物語。

色んな人物が様々な思いと過去を持って出てくるのに読みやすくて、文体も優しかった。作品全体が丸い印象だった。人物の思いや悩みを真摯に汲み上げている。

母子家庭を抜け出して早く大人になりたい融に対して、友人の忍が投げかけた言葉が良い。その時にしか出来ないことがあり、見苦しくてもそれを求めるべきだという言葉は融を突き動かす。それとは別に、貴子はある賭けを歩行祭に託していた。色んな思いが交錯しながら、高校最後の行事、歩行祭は進んでいく。

こんな青春を送りたかったとも思うが、後悔するのも青春かもしれない。多分、どれほど上手く青春してても、後悔してただろう。作品になるほど綺麗なものではなかったが、それなりに良い高校生活だったかもなーとか思ったり。

 

2,女生徒/太宰治

14の短編集。

言わずと知れた名作家だが、あまり読んだことはない。かなり衝撃を受けた。

短編は全て主人公の女性の1人称視点で書かれている。そこでの思いや彼女達の感じたこと、世間への嫌気、自己意識、それら全てが重く綺麗に描かれている。全体を通して暗い話が大半だ。何かに悩み、それを拗らせていく女ばかりでてきて、それが救われる話はあまり無かった気がする。

かなり昔に書かれた文章だが、読みやすかった。また読みたいが、精神的に参っている時に読むのは止めておこう。

基本的に、選んだ10冊とも文章が巧みだが太宰の文章の上手さは独特な気がする。時代の隔たりのせいで、文体や語彙が違うことが原因だろうか。当時の人はこの文章をどう読んでいたのか気になる。

 

3,なめらかな世界と、その敵/伴名練

SF短編集。作者の6つの短編が収められている。これは太宰とは正反対に、文体が全作品バラバラ。作者の技量がすごい。青春小説って感じの1人称視点のものから、歴史書のようなもの、戦時頃の手紙形式のものなど、とにかく文体がバラバラ。それでいてどれも読みづらさはない。作者本当にすごい。

SF的なアイディアでは、表題でもある「なめらかな世界と、その敵」と「ひかりより速く、ゆるやかに」が独特だった(SFに詳しい訳では無いけど)。後者は物語ってしまうことの加害性にも触れていた。これは最近よく、フワフワと、考えては忘れている。何かを物語としてしまうのは人のもつ悪癖と言えるだろう。なんでも分かりやすくするため、理解しやすくするため、共感のため、あるいは消費のため、物語にする必要がある。いや、必要なくてもしてしまうからこそ悪癖かもしれない。そんなことを時々考える。その嫌らしさも。

伊藤計劃ファンとしては、「美亜羽へ贈る拳銃」はかなり良い作品だった。やっぱりハーモニーは最高。感情を技術で制御してしまうというのは最早鉄板のアイディアだが、王道にはその面白さがある。

 

4,闇の奥/ジョセフ・コンラッド

19世紀の船乗りの男、マーロウの話。彼は仕事でアフリカの奥地まで行くことになる。現地には象牙貿易をしているクルツという奇妙な男の噂があり、マーロウは段々とクルツに興味を抱くようになり、、、。という話。

アフリカの自然や原住民を横目に、河を遡上していくマーロウ。読んでいると段々と、彼の体験した世界に引き込まれてしまう。

知らなかったけど、この本は名作とされているらしい。名作と呼ばれるものには、その理由があるな。かなり面白かった。他の本でもその世界に没入していくよう感じるものはあるが、この本で感じるそれは、何か異常だった。アフリカのジャングルの中、河を船で遡上しながらクルツについて思考していく。段々と環境の認識が変わっていく様子が、こちらにまで伝わってくる。没入感がすごかった。

 

5,異邦人/カミュ

これまた名作とされている本。カミュは敷居が高い気がしていたが、本作は文庫で130pくらいだったので、読みやすいかなと思った。結果、読んで良かった。

主人公のムルソーは他の人と比べて何かがずれている。興味の対象とか、何を気にするかとかがずれている。コミュニケーションは普通にとれるが、倫理観とか社会性とか呼ばれるものが薄い。そのせいで色々しちゃう話。

その時々に正直に生きているという感じの主人公。将来のことを考えていないし不安にも思っていない。おそらく将来への想像力がない。そんな感じにその場その時感じたことに任せて生きているので作品にもムルソーにも一貫性が無いように感じた。そんな人間の視点から描かれている世界は、奇妙なんだけど面白くもあった。

細かな描写もなんとなく気にいった。カラッとした太陽の光や海の感じ。

 

そんな感じの5冊でした。残りは次やります。

あと、2023年は本を100冊読むという目標を立てたが、全然駄目でした。結果53冊。

うーむ。半分か。

失敗を踏まえての今年の目標は1週間に1冊本を読む、です。

年間トータルだと2023年と変わらないけどペースをもっと一定にしたい。去年は読んでいる月と読まない月で読書にかける時間が全然違った。読書してない時はずーーっとゲームしてた。月に1冊しか読まない時もあった。そのペースのムラをどうにかしたい。

と、言いながら最初の週からその目標は達成されず。ポケモンアルセウスをずーっとやってしまっていた。はい。ごめんなさい。いや、自分の目標を誰にも迷惑かけずに自分が破っただけなので、謝る必要はないけど。なにかに謝りたい。過去の自分にだろうか。とにかく申し訳ない。そう思った。